よくいる病原体について

こんにちは。ふじたです。

 

いよいよ始まったこのブログ。今回は、先日の大雨で布団を亡き者としてしまったわたくしがお送りいたします。布団を干すときは気を付けましょう。(血涙)

 

さてさて今月のビックテーマは「手洗い・うがい・マスクによる感染防御」でございます。

 

実はこのテーマ、私たちが作成したPont創刊準備号ですでに紹介済みのものなんですよね。このブログも”準備号”ということで、今月は同じテーマとさせていただきました。

 

ちなみに、、 、「もう創刊準備号は読んだよ~」という方、

 

はい!ありがとうございます!

 

ご意見・ご感想、どしどしお待ちしております~。

 

そして、、、まだ読んでいないそこのあなた

 

Pont創刊準備号は、東京医科歯科大学湯島キャンパスや病院内のいたる所に設置してあるはずですので、是非お手に取って読んでみてくださいね。フリーマガジンですので、読み終わった後は煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ~。

 

宣伝はここまでにしておいて、今日のテーマは「感染防御のために、まず病原体について知る」という内容です。病原体として普通感冒の病原体季節性の病原体の2つについてご紹介しますので、お付き合いくださいませ。

 

普通感冒(ふつうかんぼう)の病原体

・普通感冒は言ってしまえば、”かぜ”と同じです。発熱や鼻汁、咽頭痛、咳嗽(せきのこと)、倦怠感などの症状がある場合をすべてまとめて、普通感冒と呼びます。

・8-9割がウイルスによるものです。

例)ライノウイルス、コロナウイルスアデノウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス

・残りの2割は細菌やマイコプラズマ、アレルギーなどによるものです。

・ちなみに、普通感冒にかかったからといって、すぐに自宅に残っている抗生剤を飲もうとするのは良くありません。副作用があるだけでなく、むやみな抗生剤の服用で、それに耐性を持つ病原体が誕生してしまう可能性があるためです。自宅に残っている抗生剤はむやみに服用せず、必ずお医者さんに診察してもらって、そこで処方された薬を服用するようにしましょう。

・これらの普通感冒をきたす病原体は、手洗い、アルコール消毒、うがいで十分に予防することができます。しかし、世の中にはこういった予防手段が効かない病原体も存在します。漫然と予防するのではなく、病原体をよく知り、それらに合わせた対策を講じる必要があります。

 

季節性疾患の病原体

皆さんもご存知の通り、季節によって流行する感染症は変化します。以下では、特に注意すべき季節性の病原体についてご紹介します。

・春

 風疹ウイルス

風疹は咳やくしゃみで感染が広がります。(「飛沫感染」と言います。)かつては日本中で猛威を振るっていたウイルスですが、今ではワクチン接種により感染者は少なくなっています。ワクチンを接種するだけでなく、きちんと免疫がついているかを確認することも肝要です。

 麻疹ウイルス

麻疹は風疹と異なり、感染者が吐いた息の中を吸うことでも感染します。(「空気感染」と言います。)こちらも、今ではワクチン接種により感染数は激減しましたが、今年の3~4月にかけて沖縄県で麻疹が再び流行しました。風疹と同じく、ワクチン接種に加え、きちんと免疫がついているか確認することが大切です。

 

・春~夏

 エンテロウイルス

感染すると発熱、口の中や手、足に水膨れのような発疹が生じます(手足口病)。感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染のほか、便からも感染するので、特にトイレの後の手洗い、アルコール消毒が重要になってきます。

・夏~秋

 アデノウイルス

感染すると、発熱や喉のはれ、結膜の充血などがみられます。眼に症状が出るのが特徴的で、飛沫感染や手指を介した接触感染だけでなく、プールの水が眼に直接入ることで発症する場合も多いです。うがいだけでなく、手指と眼もよく洗いウイルスを流すことが大切です。また、このウイルスはアルコール消毒が効かないことにも注意しましょう。

 

・冬

 インフルエンザウイルス

かの有名なインフルエンザを起こすウイルスです。流行する種類が年により違うので、毎年ワクチンを接種する必要があります。ですが、ワクチンだけでは感染を防ぎきれないので、習慣的な手洗い、アルコール消毒、うがいが肝要です。

 ノロウイルス

感染すると、激しい嘔吐と下痢の症状が出ます。貝類の生食感染者の吐瀉物、排泄物により感染するので、予防としてはうがいのほか、貝類は火を通してから食べる、吐瀉物の処理はしっかり行う、トイレの後の手洗いを入念に行うことがあげられます。またこのウイルスにもアルコール消毒が効かないことに注意してください。

 

・冬~春

 水痘ウイルス

このウイルスもワクチン接種により、感染は激減しました。ちなみにこのワクチンは日本で開発されました。

 A群溶結性レンサ球菌

小学生がよく感染する細菌です。普通は喉がはれる程度ですが(咽頭炎)、全身に細菌がまわり様々な症状をきたす場合があります。うがい・手洗いでしっかり予防しましょう。

 ヒトパルボウイルスB19

伝染性紅斑(いわゆるリンゴ病)をきたすウイルスです。小児を中心に感染し、両頬がリンゴのように赤くなるのが特徴です。うがい・手洗いで予防しましょう。

 

(おまけ)アルコール消毒の効かないウイルス

この世には、アデノウイルスノロウイルスのようにアルコール消毒が効かないウイルスが存在します。これは、これらのウイルスが「エンベロープ」と呼ばれる構造を持たなくても生存できるウイルスだからです。大体のウイルスはこのエンベロープと呼ばれる構造に包まれており、アルコールがこの構造を壊すことでウイルスを倒しています。しかし、アデノウイルスノロウイルスのようにエンベロープのないウイルスは、アルコールが攻撃することができないので消毒されず、生存することができるのです。

 

(取材協力:東京医科歯科大学医学部付属病院 感染制御部)

 

いかがでしたでしょうか?

次回のテーマは「手洗いによる感染予防」を予定しています。

 

では、また来週!

 

尾形

 

 

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